ホーム北側の権兵衛踏切付近に自宅を構えていた作家高見順は、遠回りを強いる(北側改札があればホームまで約120m、現状では380mも歩かされる)「国鉄」(現在JR)に対して抗議の言葉を、彼の日記に並べたてている。
<<昭和三十五年二月十二日 北鎌倉駅ホーム改札のこと
今日、北鎌倉駅から電車に乗るとき、時間が迫っていたので、「不法闖入」をした。ここには「不法闖入」を防ぐために厳重な金アミが張ってあるのだが、誰かがそのアミを破って進入できるようにしてしまった。そこから入ったのである。ここは手をかえ品をかえ、国鉄側で進入防止の設備をするのだがダメである。有刺鉄線を張っても、かならず誰かが取ってしまう。というのも、大船側の乗客は、大変な遠廻わりをしなくてはならないからだ。不便きわまりないからだ。
大船側にもひとつ改札口を作ってくれると助かるのだが、せめて便宜的にでも駅員がひとり立っていてくれると便利なのだが、だから、かつて、われわれ乗客有志の間で、自分たちが毎月金を集めて駅員の手当を出すから、便宜をはかってくれと申し入れをしたこともあるのだが、国鉄の「規則」のため、それが実現されない。>>
(写真)北鎌倉駅ホーム北端近くにある歩行者専用小踏切から南方向を見る。
(写真)北鎌倉駅ホーム北端の防御柵。高見順宅は、ここに改札があるなら120mと至近なのだ。
<<私たちの不便は(特に毎日、定期券で通っている人たちの不便は)大変なものである。駅員ひとり、大船側に置いてくれると、どのくらい助かるか分らない人が多数いるのだが、「規則」のためダメである。そして「不法闖入」を防ぐためには、たくさんの金を使って、幾度もいろんな方法を講じている。
「国鉄」がもし独占事業でなく、競争会社がここに存在していたら、こんな不便を乗客に押しつけて、知らん顔をしているわけにはいかないのだ。>>
「続高見順日記」第1巻・第2巻より
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高見順リンク
上野不忍池 聖天宮のフェリシズム石像 高見順「都に夜のある如く」から http://zassha.seesaa.net/article/442222396.html
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