2012年08月01日

豪徳寺 写真家荒木経惟(アラーキー)と陽子とチロの遺家

小田急線豪徳寺駅東口から豪徳寺(大老・井伊直弼の菩提寺として有名)にむかって住宅街の路地を歩くと、古い5階建てマンションが現れる。1982年(昭和57年)以来、写真家荒木経惟(のぶよし)氏と妻陽子さんの住居であり、作品表現の舞台となった建物だ。生後4ヶ月のチロ(猫)が同居したのは、1988年(昭和63年)になってから。アラーキー夫妻の愛猫チロをまじえた生活は短い期間で終わりをつげる。1989年8月、陽子さんは入院し手術を受ける。手術の日、アラーキーはその病室の窓を開け「空」を写す。翌年1月27日午前、荒木陽子さんは入院中の女子医大の病室で逝去(42歳)。棺に完成したばかりの写真集「愛しのチロ」を副葬としておさめる。アラーキーの人生・作品と一体化していた妻でありモデルでもあった陽子さんの早すぎる死であった。陽子さんの魂が乗り移ったような存在の愛猫チロとウインザーハイム豪徳寺での生活は続く。2009年(平成21年)、検査で前立腺がんが発見されたアラーキーは治療に専念。翌年3月、愛しのチロはアラーキーを残し先立ってゆく。チロは22歳であった。
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この建物は、アラーキーの写真集の表紙に取り上げられ、
住所表示プレートも写されている。この古ぼけた建物はアラーキー氏の作品世界そのものだ。
室内、屋上ベランダ、そして西側の空まで。

荒木経惟氏略歴
1940(昭和15年)5月25日 東京府下谷区(現・台東区)三ノ輪に生まれる。
1947(昭和22年)東泉小学校入学。
1952(昭和27年)アマチュア写真家だった父親からカメラを譲り受け、修学旅行先の
        日光東照宮で生涯初めての写真を撮る。
1953年(昭和28年)下谷中学校入学。
1956年(昭和31年)都立上野高校入学。
1959年(昭和34年)千葉大学工学部写真印刷工学科入学。
1960年(昭和35年)大学の赤城山寮にバイトにきていた女子高生相手に童貞喪失。
1963年(昭和38年)千葉大学卒業。電通入社。宣伝部技術局制作企画室配属。
1968年(昭和43年)電通総務局文書部和文タイプ室勤務の青木陽子(20才)と知り合う。
1971年(昭和46年)7月7日 青木陽子と結婚 新婚旅行は京都、柳川、長崎。
         新婚旅行を写真集「センチメンタルな旅」(自費出版)としてまとめる。
1972年(昭和47年)電通退社。退職金でアサヒペンタックス6x7を購入。
以降、フリーカメラマンとして活動。
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老朽化を理由にウインザーハイム豪徳寺の解体決定 (右写真)建物前は古道「滝坂道」 敷地近くあるお地蔵さん    
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(左写真)写真集6「東京小説」と雑誌「ユリイカ」アラーキー特集号 (右写真)2012年7月発行の写真集「愛のバルコニー1982〜2011」。
「愛のバルコニー1982〜2011」は、豪徳寺での生活の総括となる写真集。

解体が決まっていたウインザーハイム豪徳寺から2011年(平成23年)12月31日、
荒木経惟氏は退去した。

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2014年(平成26年)建物は解体され、新築ビルが姿を現してきている。

荒木経惟HP http://www.arakinobuyoshi.com/index.html

荒木経惟リンク
世田谷 写真家荒木経惟(アラーキー)の陽子もチロもいない新家http://zassha.seesaa.net/article/400445825.html
原宿 荒木経惟「文化写真」 展(ミニギャラリー) http://zassha.seesaa.net/article/454860200.html
京都・四条河原町 喫茶・築地http://zassha.seesaa.net/article/455847835.html
渋谷 青学会館 荒木経惟・陽子夫妻の挙式会場http://zassha.seesaa.net/article/455890811.html
長崎・鍛冶屋町 レストラン銀嶺 「荒木陽子全愛情集」よりhttp://zassha.seesaa.net/article/455985556.html
鎌倉 近代美術館付属カフェ<ラ・ミュゼ> 「荒木陽子全愛情集」よりhttp://zassha.seesaa.net/article/456022608.html
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posted by t.z at 16:31| Comment(0) | 東京北西部tokyo-northwest | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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