2013年01月04日

上野 西村賢太の小説「暗渠の宿」の舞台(部分)

彼女と共に、傾倒する私小説作家・藤澤清造が約90年前に訪れた上野動物園の地に立つという目的を果たした後、二人は上野駅近くの映画館街にむかう。そこで主人公は「聚楽」のネオンの真下あたりで古書展のようなものが開かれているのを見つける。単行本「暗渠の宿」のp133です。「中に入ってみると、下町の古書店がいくつか集まっての、なかなかの規模のもので、・・・」 ここで主人公は背表紙に藤澤清造の名を探し始めるのだが、近代文学関係の書籍が集まるコーナーでそこにいた客とトラブルをおこしてしまう。p137まで描写されますが、この小さいトラブルが2010年の「苦役列車」での第144回芥川賞受賞決定の連絡を受けたときのせりふ「風俗に行こうかなと思っていたところ」につながってゆきます。主人公の粗暴さを後ろでじっと観察していた彼女は後ずさりするように消えてゆきます。この後、西村氏の実生活において短い期間だったら彼女と呼べる女がいたかどうかを調べることは不可能ですが、各作品に描かれているように決まった女を作れずに風俗漬けの日々・・・。この古書店の場面が、芥川賞受賞連絡の時まで続いていく彼女のいない生活の契機となった場所なのです。芥川賞受賞後、マスコミへの対応のためマネジメントを表参道交差点の近くに本社を置くワタナベエンターテインメントに委託し、テレビ番組出演もこなしています。番組をチェックしたのはほんの一部ですが、有名人になった後も変わらない生活のようで風俗通いは更なる高みに達してるいるようです。

映画館に向かう描写に映画作品名が2本登場・・・「ハリーポッター」と「伊能忠敬」。年月が絞れます。2001年です。大ヒットした「ハリー・ポッターと賢者の石」と東映系「伊能忠敬−子午線の夢」(11月17日公開)。この書店を訪れたのは2001年11月か12月でしょう。また「聚楽」のネオンの真下あたりと書かれてますがややずれた位置に該当する古書店が存在してました。
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赤いタクシーの真後ろの位置に10店舗の集合古書店 下右写真のチラシの地図に赤丸
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かなり広い店内の右奥付近に文学関連の棚 この辺でトラブルになったよう?
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聚楽のネオンもビル解体で消滅・・上の写真と同じ角度で撮ったつもり 昨年9月にその古書店も閉鎖 間もなくこの小説のこの場面は探そうにも探せない場所となります
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西村賢太「暗渠の宿」新潮社2006年12月20日発行 新潮文庫でも刊行中
右写真は(株)ワタナベエンターテインメントの玄関
ワタナベエンターテインメント文化人グループに西村氏の顔写真付きプロフィールhttp://www.watanabepro.co.jp/mypage/artist/nishimurakenta.html

西村賢太氏の受賞略歴
2007年「暗渠の宿」第29回野間文芸新人賞受賞
2006年「どうで死ぬ身の一踊り」第134回芥川賞候補
2008年「小銭をかぞえる」第138回芥川賞候補 
2009年「廃疾かかえて」第35回川端康成文学賞候補
2010年「苦役列車」第144回芥川賞受賞

posted by y.s at 04:09| Comment(0) | 上野・御徒町・湯島 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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