1月8日朝方から、一部の敗走する幕府軍が和歌山に到着し始める。新政府軍に恭順の意を表している紀州徳川家は、城下で救助の手を差し伸べるわけには行かず、城下から離れた東方の紀三井寺村付近で糧秣の配布を行っている。1月9日には新政府軍の先遣隊が大阪城及び市中を制圧。佐々木只三郎は1月8日頃までは生存していたようで紀三井寺の近辺で死亡している。由良という小さな漁村付近で、1月12日に死去したとの情報も残されている・・・。遺骸は、紀三井寺に運ばれ、本堂の裏山に葬られた。
1974年(昭和49)、紀三井寺で佐々木只三郎の墓碑が二つに折れた状態で発見される。上部部分は100mも離れた草むらから発見されている。1976年(昭和51)に改葬式が行われ、折れていた旧墓石は修復され、会津若松市内の会津武家屋敷内に安置される。旧墓石から忠実に再現された新墓が、紀三井寺の裏山墓地の同じ場所に建てられている。2004年(平成16)になって谷中・宗林寺(しゅうりんじ)の墓地内に佐々木家により供養碑が建立される。
*参考資料
「京都見廻組秘録」洋泉社2011年刊
「京都見廻組史録」新人物往来社2005年刊
「会津戊辰戦争写真集」新人物往来社2002年刊
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