2013年02月08日

浅草 阿部定の足跡 百万弗劇場

阿部定は、戦後の混乱もやや収まりかけた昭和23年に、劇作家・長田幹彦が主宰する劇団で自ら「阿部定」役を演じる。演目は「昭和一代女」。1936年(昭和11)5月に尾久の待合で起こした猟奇殺人事件を、自ら出演して浅草の芝居小屋で再現してみせる。地方巡業をこなした後、浅草の<観音寺裏にあった百万弗劇場>で上演開始(「阿部定正伝」では芝居を観た浅香光代のインタビューを紹介P315している)。そのインタビューでは、この劇場の場所を「観音様の裏手にあったんです」と紹介している。裏手? 観音様の裏手(浅草寺本堂の裏手=北側)って大きな浅草寺病院がある辺りかなと思い、戦後の火保図(火災保険特殊地図)で調べると、病院の東側に「百万弗ホテル」の記載がある。ホテルの付属らしき2つの建物もある。だが芝居小屋の記載はない。(現在、百万弗ホテルは痕跡もなく消滅している)
結局、「百万弗劇場」の位置は、興業街・六区のほぼド真ん中・・・せめて「観音様の隣り」と言っていたら迷わなかったのに。日本最大の歓楽街のその中心「六区」。映画館「キリン館」は「観音劇場」と名称を変えた後、戦後しばらくして「百万弗劇場」になっている。阿部定が舞台に立った場所は、「六区」メーンストリートにある「大勝館」の西隣りだったのです。実際の詳細地図での記載を確認できてないので推定です。
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(左写真)左の大きなビルの一画が「百万弗劇場」 跡地はいくつかのビルに分割されている 地番・浅草2−11の南側部分
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大勝館側から見た一画 屋上の塔が印象に残る歴史ある大勝館も解体更地に(2013年秋頃にドンキ浅草店ビル完成) 2012年末から「六区」メーンストリートはかってないほど変貌する

参考資料
「阿部定正伝」1998年刊・情報センター出版局

「上野 阿部定の足跡 坂本町の長屋跡」http://zassha.seesaa.net/article/312996652.html
「兵庫・篠山市 阿部定の足跡 京口新地」http://zassha.seesaa.net/article/313095541.html
「名古屋 阿部定の足跡 中村遊郭」http://zassha.seesaa.net/article/313453094.html
「神田 阿部定の足跡 出生地と小学校」http://zassha.seesaa.net/article/313356355.html
「上野 阿部定の足跡 星菊水」http://zassha.seesaa.net/article/312979470.html
「日本橋浜町 阿部定の足跡 浜町公園」http://zassha.seesaa.net/article/316491763.html
「大津 阿部定の足跡 地蔵寺」http://zassha.seesaa.net/article/316571479.html
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posted by t.z at 12:49| Comment(2) | 東京東南部tokyo-southeast | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
13日から、合羽橋のニイミでアウトレットセールがあるので買い物したら、足を延ばして行ってみます。ついでに、松本清張大先生のドキュメンタリー番組で、阿部定さんがインタビューに答えている吾妻橋のたもとにも行ってみよう。「そうねえ、人間ていうのは、一生に1人じゃないかしら。好きになるのは・・・」喋り方真似しちゃおう!
Posted by 定マニア at 2013年02月08日 17:31
百万弗劇場跡を見てきました。改めて、周辺を散策して気付いたのですが、常盤座も百万弗劇場の近くにあったのですね。阿部定とジプシーローズが同じ浅草で活躍していたなんて。ジプシーローズゆかりの場所も、今は山口県防府市の三田尻銀座にあるバー跡だけ。寂しいですね。
Posted by 定マニア at 2013年02月19日 09:17
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