2013年02月12日

京都 円山公園 いもぼう平野屋本家 松本清張「球形の荒野」より

東山・円山公園を知恩院南門に抜ける手前辺りに、「いもぼう」発祥の老舗「いもぼう平野屋」の本家と本店が左右に並んで店を構えている。「本家」のほうの女将(北村明美さん)に伺うと「こちらが本家であちらは分家」とのこと。
「本家」のHPから紹介文を引用すると、<<いもぼう平野家本家では伝統のほんまもんの味を守る為に、京の名物料理「いもぼう」の技と味を一子相伝(いっしそうでん)で継承者にのみ伝承いたしております。手間ひまをかけた他では真似の出来ない本来の「いもぼう」を是非お召し上がり下さい。文豪・吉川英治先生に「百年を伝えし味には百年の味あり」とお褒め頂き、ノーベル賞作家・川端康成先生が「美味延年」と記され、また推理小説作家・松本清張先生には小説の舞台としてお書き頂いております。>>
そこで多作を誇る松本清張の長編小説群から「いもぼう」登場場面を抜き出してみる。作品は「球形の荒野」で、京都での主舞台は、下記に「鍵をフロントに預ける」と描写されているように、殺人事件が発生する「Mホテル」こと「都ホテル」であって、「本家」のHPにある「小説の舞台」というのは大袈裟で、ささいな事件も起こらず、この料理屋に謎解きのヒントが隠されているわけでもない。

<<京都では、特殊な料理として「いもぼう」というのを聞いていた。久美子ほ支度をした。鍵をフロントに預けるとき、その料理を食べさせる家を訊くと、円山公園の中にあると教えられた。
タクシーで五分とかからなかった。その料理屋は、公園の真ん中にあった。これも純日本風のこしらえである。幾つにも仕切られている小部屋に通った。「いもぼう」というのは、棒鱈(ぼうだら)とえび芋の料理で、久美子は他人(ひと)からは聞いていたが、食べるのははじめてだった。淡泊な味でかえって空いている胃に美味しかった。
女中もみんな京言葉だし、隣の部屋で話している男連中の訛(なまり)がそれだった。こうして特色のある料理を食べながら土地の言葉を聞いていると、しみじみと旅に出たと思う。>>以上。
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(左写真)メーンの海老芋と棒鱈鱈  (右写真)御膳セット
 営業時間 10:30〜20:00L.O 15時にメニュー切り替え
 定休日 無休
 詳細はHPで(本家)http://www.imobou.com/

「球形の荒野」オール読物昭和35年1月〜昭和36年12月掲載初出。
「松本清張全集6」文藝春秋1971年刊より抜粋。
松本清張リンク
奈良 薬師寺から唐招提寺への道 松本清張「球形の荒野」より http://zassha.seesaa.net/article/448074331.html
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posted by y.s at 19:58| Comment(0) | 京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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