選考委員の一人だった安岡章太郎の評は「これは候補作中抜群であり、あらゆる意味で新人ばなれがしている。しかし、それはアタリマエで唐氏の奇才は劇作家として知れ渡っているからだ」・・さらに10年を遡った1970年代前半での劇団「状況劇場」を率いていた唐十郎への評価は・・「アングラ演劇の旗手」「天才劇作家」。今回は、さらに遡って戦前の「下谷万年町」の生家跡に。現在は消滅してしまったこの町名は、唐十郎の小説・戯曲によって知られているのですが・・・何処?
唐十郎(本名・大鶴義英)は 1940年(昭和15年)2月11日に 九州出身の映画プロデューサーの大鶴日出栄の次男としてこの路地裏で誕生(母は東京出身) (右写真)同じ棟続き(だったと思われる)の長屋の玄関 *大鶴家の位置はこの長屋に撮影当時(2010年)にお住まいの方から「そこだよ」と聞いています
昭和33年4月 明大文学部演劇学科に入学 演劇に没頭する学生生活をスタート 大学3年時に父親の作品の助監督を務めていた故・若松孝二と出合う(昭和43年公開の若松作品「犯された白衣」に主演) 昭和38年7月 「シチュエーションの会」(状況劇場の前身 昭和39年に改名)を旗上げ公演 万年町の長屋の2階を劇団事務所として使いながら 昭和39年 24才の夏に杉並区西荻窪のアパートに移ることに
(右写真)状況劇場の紅テント公演は新宿花園神社側の拒否にあうなど紆余曲折があったのですが・・現在は「唐組」旗が境内に高く掲げられてます
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