2013年11月18日

京都 三嶋亭 織田作之助「それでも私は行く」から

織田作之助の新聞小説「それでも私は行く」(1946年4月25日〜7月25日京都日日新聞夕刊に連載)から「千切屋旅館別館」に続いての第2回目です。
先斗町のお茶屋「桔梗屋(ききょうや)」の美貌の三高生の息子・鶴雄(主人公)が、河原町三条から寺町通の「小田策之助」(織田作之助)がいる錦ビル4階の「世界文学社」(実在)に向う途中、すき焼の名店「三嶋亭」(三条通と寺町通の東角で現在も営業中・小説では「三島亭」)の前を曲がるのだが、織田作は自らの三高時代の思い出を挿し込んでいる・・・今回は、その「三島亭」。現在は京都市内の有名百貨店などに販売コーナーを設けたり食事処を出店しています。
・・・「それでも私は行く」から
<<「もしかしたら、山吹先生はいい口を見つけて置いてくれたかも知れない」そう呟きながら、鶴雄は三条通りの「三島亭」の横を寺町通りへ折れて行った。「三島亭」は古い牛肉店で、戦争前は三高の学生たちがよくこの店でコンパを開いて、「紅燃ゆる丘の花……」という校歌やデカンショ節をうたいながら、牛飲馬食した。当時は会費は一円か二円で済んだという。想えば昔なつかしい青春の豪華な夢であるが、しかし、鶴雄が学校へはいった時はもうコンパなぞ開こうと思っても開けず、「三島亭」のコンパも、鶴雄にとってはもはや想像も出来ない古めかしい伝説であった。そんなことを想い出しながら、鶴雄はずらりと並んだ寺町の闇市の中に建っている錦ビルの前まで来た。>>
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(左右写真)鶴雄は左手(三条通)から「三島亭」の前を右奥に折れて寺町通を下って行く 右写真は寺町通側の「三島亭」
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現在の三嶋亭・・・「学生がコンパ」といった雰囲気は微塵もなく 下足番が出迎える料亭をイメージすると当たるかも

・・・で リーズナブルに三嶋亭の味とやわらかい牛肉を確かめに まずは四条烏丸に近い大丸百貨店地下食品売場の一画にあるイートインに
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・・・四条河原町交差点の高島屋京都店(7階のダイニングガーデン京回廊)にも出店中
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大丸地下のカウンターのイートインよりハイレベル設定の京回廊店です
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寄り道して食事をしてる間に 鶴雄は寺町通と錦通の角の「世界文学社」の階段を上ってしまっている・・・第3回目は何処に向うのか 鶴雄のふるサイコロ次第です(新聞連載で鶴雄はサイコロで向う方角を決めています) 
織田作之助リンク
京都 織田作之助が執筆に使った「千切屋別館」http://zassha.seesaa.net/article/379223394.html
本郷 喫茶店「紫苑」の織田作之助と太宰治http://zassha.seesaa.net/article/381424205.html
大阪 阿倍野 料亭「千とせ」跡 織田作之助http://zassha.seesaa.net/article/382857023.html
大阪 口繩坂 織田作之助「木の都」よりhttp://zassha.seesaa.net/article/381516708.html
京都 書店そろばんや 織田作之助「それでも私は行く」からhttp://zassha.seesaa.net/article/382937234.html
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posted by t.z at 14:38| Comment(0) | 京都kyoto | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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