2013年12月30日

京都 縄手通 茶漬鰻 かね正 小津安二郎の日記から

名匠・小津安二郎は茶漬好きである。鮭茶漬はもちろん鯛茶漬(銀座竹葉亭の本支店を頻繁に訪れている)にも目が無い。鰻(うなぎ)も好きである。関東では滅多にお目にかかれない鰻の茶漬といえば当然、強い興味を持ち、京都からそれなりの情報を得ていたはず。小津が直接、京都滞在中に京阪三条駅に近い(縄手通沿い)本店を訪れた記録は(日記を通読する限りでは)残っていません。小津が手帳に書きしるした戦前・戦後の膨大な日記に、「京都の鰻茶漬」を記録した箇所は3箇所。それぞれが京都の知人・同僚からの郵送物を受け取った記録として記しています。その3箇所を引用。

 1960年(昭和35年)2月20日(土曜)晴 終日在宅 橋本明治氏より茶漬うなぎ いたヾく ひるねののち 入浴 枕辺雑書乱読二時に及ぶ (P616) *橋本明治=日本画家1991年3月25日没

 1962年(昭和37年)1月9日(火曜)晴 ふヾやから京かね正の茶漬うなぎくる 郵便局まで散歩 おり漬の荷札を野田に送る  (P756) ふヾや=不明? ぶぶや=お茶漬屋

 1962年(昭和37年)6月5日(火曜)晴 散歩に出る 一般キャンプの橋から長瀬邸 それから借地に廻って帰る 夜 若尾文子から電話 京都清水から茶漬うなぎ届く (P775) *清水は元松竹の監督=清水宏 太秦の大映京都で撮影中?引退後かは未調査

店名「かね正」が直接書かれているのは1月9日分のみだが、<茶漬鰻といえば「かね正」名物>であり、小津が他のものを手にするはずがないと思えます。
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右正面の大きな町家が「かね正」本店 後方が三条京阪で奥(南方)が四条通方向 四条通の手前に食事処「かね正」が営業している
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川魚問屋として創業した証左である重々しい板額(揮毫は読めない) 右写真は店内の商品展示・・茶漬鰻のみである(量によりかなり高額になる)注文するとその場でパック詰めしてくれる
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四条通に近い食事処「かね正」 郵便局側の細い通路を入ると暖簾が見える 昼・夜とも予約で埋まります(閉店近くなるとフリーでも入れる可能性あり) カウンター席が中心でそれほど広くは無い 調理は関東風で蒸し・背開き 木曜・日曜が定休 中休み有り 予約075−532ー5830 11時30分〜14時 17時30分〜21時30分 2012年現在=通路の張り紙から
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 *参考 「全日記 小津安二郎」フィルムアート社1993年刊
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posted by t.z at 23:44| Comment(0) | 京都kyoto | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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