江戸中期の後半に差し掛かる頃に初代大和屋嘉七によって創業された京麩の老舗(現在は七代目)。麩造りに欠かせない良質な清水が豊富に湧き出るこの地(京洛七名水に数えられる滋野井がすぐ近く)に店を構え、禁裏(御所)御用を勤めてきた名店だ(1800年初頭の文化年間の御所出入りの鑑札が残存する)。創業年代があいまいなのは、家伝書類が江戸期の火災で焼失したため。おそらく幕末の蛤御門の変による「どんどん焼け」(京都中心部が焼失した大火災)で被災したと思われるのだが、元治元年7月の京の瓦版に火災範囲を描いた絵図がいくつか残っており、御所は火災を免れ、丸太町通から南、堀川通の東手前(二条城は無事)までが焼け落ちている。「麩嘉」は瀬戸際で燃えなかった可能性もある。御所南方の京の老舗は、この火災でほぼ全てが焼失している。
「麩嘉」は買い求めやすいように各地域に売り場を設置しているが、一度は京情緒あふれるこの本店を訪ねてみるのも良いと思う。場所は、西洞院堪木町上ル(管理人も堪木町は読めません・・<ニシドウイン・サワラギチョウ>)。営業時間は9時〜17時。生産量の関係で確認予約(電話075-231-5561)が必要。
打ち水された京町家の本店 懐石料理や精進料理に欠かせない生麩は現在でも裏手の工場から出荷されている 向かって右手に休み処も設けられている
玄関の外と内側から のれん以外に目印となるものは無い
玄関脇の桶に泳ぐ金魚 腰掛けて注文品を待てる座敷(ショーケースの類はない)
買ったのは麩嘉の人気1位商品「麩まんじゅう」 明治中頃に4代目により考案された麩菓子だ 青のりを練りこんだ生麩で甘味を抑えたこし餡を包み 熊笹の葉で丁寧にひとつずつ巻いた絶品 現在では季節限定で様々なバリエーション展開をみせている 春の「桜麩まんじゅう」(柚子風味のこし餡を桜色の道明寺麩で包んだもの)や初夏の「かしわ麩まんじゅう」(白味噌入りこし餡) 冬の「黒豆麩まんじゅう」(黒豆で作ったこし餡)などです 単価は5個入り箱が1100円 季節限定品はやや上回る値段設定になる
本店に向かって左脇の工場への通路にある井戸の説明板(この真下に無料汲み場が有るが要煮沸処理) 昭和51年に掘った深さ60mの井戸で 西方100余mにあった名水「滋野井(しげのい)」の地下水脈と通じているのかもしれない (右写真)「散し麩」(ちらしふ)お吸い物等で使う天日で乾燥させた型抜き麩
手鞠麩(てまりふ)1個180円 生麩の玉に赤・黄・緑で色づけしたもの
(左写真)錦市場の堺町通北角の「麩嘉・錦市場店」 麩嘉・錦市場店の営業時間は9時30分〜17時30分 定休日は月曜