<<道頓堀相合橋(あいおいばし)東詰「出雲屋」のまむし、日本橋「たこ梅」のたこ・・・(略)・・・新世界に二軒、千日前に一軒、道頓堀に中座の向いと、相合橋東詰にそれぞれ一軒ずつある都合五軒の出雲屋の中でまむしのうまいのは相合橋東詰の奴(やつ)や、ご飯にたっぷりしみこませただしの味が「なんしょ、酒しょが良う利いとおる」のをフーフー口とがらせて食べ、仲良く腹がふくれてから、法善寺の「花月」へ春団治の落語を聴きに行くと、ゲラゲラ笑い合って、握り合ってる手が汗をかいたりした。>>P12〜P14
*「まむし」とは関西圏で広義に「鰻どんぶり」の意。うなぎをご飯の間に入れて蒸すことから「間蒸す」、又はうなぎをご飯に「まぶす」ことからともいわれている。
「いづもや」は、1876年(明治9年)に看板を掲げて以来、安売りの「十銭まむし」屋として人気を集め大繁盛する。織田作が「夫婦善哉」を執筆した頃には<都合五軒の出雲屋>とかなり縮小傾向にあったようだ。新世界(通天閣周辺)の2軒は資料が見つけられず場所を特定できないでいます。千日前の1軒(閉店)は、数十年間この店で働いていた方が船場に移って独立開業(ご夫婦で)しており、閉鎖した経緯も伺うことができました。道頓堀の「中座の向い」(中座前いづもや=西櫓町101番 電話南1408)と「相合橋東詰」(相合橋いづもや=東櫓町26番 電話南506)は、昭和13年版の南区(現在は中央区)詳細地図と「道頓堀街並みイラスト一覧」、戦前の大阪市電話簿で確認してます。
![]() |
![]() |
|
|
*「うなぎ いづもや」 中央区船場中央1-4-3 船場センタービル3号館地下2階の北通り側
定休日 日曜 営業時間 11時〜21時 2009年8月開業
参考
「なにわ難波のかやくめし」東方出版1998年刊
「モダン道頓堀探検」創元社2005年刊
「大阪市南区詳細地図」昭和13年
織田作之助リンク
大阪 北野田の六軒長屋 織田作之助「蚊帳」「高野線」からhttp://zassha.seesaa.net/article/383884815.html
京都 三嶋亭 織田作之助「それでも私は行く」からhttp://zassha.seesaa.net/article/380550110.html
京都 織田作之助が執筆に使った「千切屋別館」http://zassha.seesaa.net/article/379223394.html
本郷 喫茶店「紫苑」の織田作之助と太宰治http://zassha.seesaa.net/article/381424205.html
大阪 阿倍野 料亭「千とせ」跡 織田作之助http://zassha.seesaa.net/article/382857023.html
大阪 口繩坂 織田作之助「木の都」よりhttp://zassha.seesaa.net/article/381516708.html
京都 書店そろばんや 織田作之助「それでも私は行く」からhttp://zassha.seesaa.net/article/382937234.html
大阪 難波南海通 波屋書房 織田作之助http://zassha.seesaa.net/article/383029592.html
京都 しるこ屋べにや 織田作之助「それでも私は行く」からhttp://zassha.seesaa.net/article/383338605.html
大阪 難波 雁次郎横丁 織田作之助「世相」からhttp://zassha.seesaa.net/article/383495231.html
大阪 御蔵跡公園 織田作之助「夫婦善哉」からhttp://zassha.seesaa.net/article/384046960.html
大阪 木の實 織田作之助の短編「大阪発見」からhttp://zassha.seesaa.net/article/385693058.html
【関連する記事】
- 大阪 楞厳寺 織田作之助の墓 太宰治「織田君の死」・吉村正一郎「織田作の墓」より..
- 大阪 大坂城天守前広場の作家・海音寺潮五郎 井伏鱒二「入隊當日のこと」より
- 大阪北浜 淀屋橋 落語「雁風呂」六代目三遊亭圓生より
- 大阪・釜ヶ崎 三角公園 野坂昭如「マッチ売りの少女」より
- 大阪船場・御霊神社 御霊文楽座 谷崎潤一郎「青春物語」より
- 大阪西成 映画「太陽の墓場」(大島渚監督)釜ヶ崎ドヤ街ロケ
- 大阪天満 川端康成生誕地 短編「葬式の名人」より
- 大阪難波 一芳亭のしゅうまい 吉本ばなな「ヨシモトバナナコム2」より
- 大阪南 旅館(待合)千福とカフエ・ユニオン 谷崎潤一郎「芥川龍之介が結ぶの神」よ..
- 大阪 大坂冬の陣 真田出丸
- 大阪 通天閣 川上弘美「ニシノユキヒコの恋と冒険」から
- 大阪 かやくめし「大黒」 小津安二郎の「手帖」から
- 大阪 宗右衛門町界隈 池波正太郎「大阪ところどころ」より
- 大阪 天保山 日本一低い山の座譲る
- 大阪 菓子司 鶴屋八幡本店 小津安二郎の「手帖」から
- 大阪 美々卯本店 小津安二郎の日記から
- 大阪 木の實 織田作之助の短編「大阪発見」から
- 大阪 阿部定の足跡 飛田遊郭・御園楼
- 大阪 山内法律特許事務所(近代建築)
- 大阪 江戸焼うなぎ 菱冨 小津安二郎の日記から
以下、お教えください。
大阪の「出雲屋」について調べていて、このページにたどり着きました。
私の調べでは、<都合五軒の出雲屋>とは、「中座前」「新世界恵・美須町角」「通天閣前」「千日曲・南海通角」「相合橋南詰」の5店です。
この5店が、今は「いづもや船場店」として続いているのでしょうか?。