2014年03月28日

京都 宇治の桜 源氏物語宇治十帖「浮舟」より

源氏物語全五十四帖は、光源氏が亡くなったあと、宇治周辺を舞台にした最後の十帖(宇治十帖)へと物語は移ってゆく。光源氏の子、薫君は26歳の春を迎えている。薫君と光源氏の孫にあたる匂宮の二人の男に身を許した浮舟の悲恋が、宇治川の流れに小舟がただよい何処かへ消え去ってゆくがごとくはかなく語られる。
<「これが橘の小島」と申して、しばらく舟人が棹を突きさしてお舟を留めたあたりを御覧になりますと、大きな岩のような形に、洒落た常盤木(ときわぎ)がこんもりと繁っています。「あれを御覧なさい。まことにはかない木ですけれども、あの、千年(ちとせ)も変わらない緑の色の深いことを」と仰せなされて、
  年ふともかはらんものか橘の こじまのさきに契るこころは
女も、何だか珍しい旅に出たような心地して、
  たちばなの小島はいろも変わらじを この浮舟ぞゆくへ知られぬ >
          谷崎潤一郎訳「源氏物語 巻五」「浮舟」より
匂宮は、浮舟を宇治川の橘の小島を舟から見せたあと、対岸(平等院側)の隠れ家へと自ら抱きかかえて誘う。宮は浮舟の衣を脱がしほっそりとした体つきを愛らしく思い、打ち解けてゆく。その後、二人は宇治川のせせらぎを聴きながら二夜の愛に溺れてゆく。
「源氏物語」の舞台を桜色に染めるこの季節に訪れることは、心まで華やかになります。「浮舟」のような女性がかたわらにいたなら・・・
    kyotoujisakura01.JPG
宇治川の中洲の橘(たちばな)島 右上流に橘の小島だと想定される塔の島(十三重石塔が置かれている)に続く
kyotoujisakura02.JPG  kyotoujisakura03.JPG
平等院側の宇治川の堤 宇治の山里は春の光に桜色に煙る
kyotoujisakura04.JPG  kyotoujisakura05.JPG
橘(たちばな)島へ渡る橋(橘橋) 対岸へ繋がる赤い朝霧橋を渡った袂の宇治神社前には宇治十帖のモニュメント 薫君と寄り添う浮舟の像が置かれている(平成7年3月建立)
   kyotoujisakura06.JPG  kyotoujisakura07.JPG
宇治神社側の宇治の流れに面した橋寺放生院 散り落ちた桜花が境内を染めている 放生院境内には宇治橋断碑(重要文化財)が置かれています(拝観有料)
   kyotoujisakura08.jpg  kyotoujisakura09.JPG
谷崎潤一郎訳「源氏物語 巻五」中公文庫1982年版より 「浮舟」のシーンが表紙(画・白井晟一) (右写真)平等院通りの老舗・菓子司「能登掾 稲房安兼」で春の季節を満喫 「掾(じょう)」の文字は江戸期(嘉永2年)に御室御所より御免の事の墨書を下賜された証(御所出入り許可) 定休は木曜
kyotoujisakura10.JPG  kyotoujisakura11.JPG
(左写真)朝霧橋(後ろの赤い橋)の宇治十帖「浮橋」のモニュメント(台座が舟型) (右写真)宇治橋西詰の紫式部像と宇治十帖の「夢浮橋」碑(手前・源氏物語の最終章)
【関連する記事】
posted by t.z at 23:54| Comment(0) | 京都kyoto | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。