<桐生亜希が、その青年をはじめて見かけたのは、祇園祭の宵山の雑踏のなかであった。その年の夏、二十七歳になった亜希は、ひとりで京都へ三日間の小旅行に出かけた。>
五木寛之の小説「燃える秋」の冒頭です。亜希が何の目的で、何をもとめて訪れたのかは小説を読んでいただくとして、亜希は涼しくなった夕方、ジーンズのスカートに紺のTシャツという美大時代に愛用した服装で外出する、行き先は東山丸太町交差点付近。
<聖護院(しょうごいん)の洋食屋で軽く食事をすませた亜希は、再び市電の通りをもどって、YAMATOYAへコーヒーを飲みにはいった。その店は表通りから少し引っこんだ小路の右側にあった。関西のジャズの愛好者たちの間ではよく知られている店で、二階と下の階とに分れていた。亜希は以前、友人に連れられてその店の二階のほうにいったことがあった。二階ではややハードなジャズを、一階のほうでは比較的スタンダードなジャズを聴かせるようになっている。亜希は店の前で少しためらってから、一階のドアを押した。> 五木寛之「燃える秋」角川書店1981年刊より
(右)小説に描写されたYAMATOYA(1970年開店)は解体され新ビルに建替え 2012年10月工事中当時(右奥)
2013年3月1日リニューアルオープン 2階と1階とに分れていた店は1階のみの営業スタイルに変わった 昔日のジャズ喫茶の雰囲気はない お勧めの席はママさんと気軽に会話が楽しめる広く重厚なカウンター
左奥壁際の棚に数千枚のLP盤が収蔵されている
ジャズスポットYAMATOYA 営業時間・定休日等はショップカード参照(左端写真)