2017年04月10日

横浜 ダダイスト高橋新吉の詩「衂血」(はなぢ)より

月経を衂血(鼻血)で済ます女を想ったことがあるだろうか。
また、月経を衂血(鼻血)で済ませられたならと想った女はいるだろうか。
   shinkichithanadi02.jpg

高橋新吉「衂血」より、一部分を抜萃。
・・・・・・・・・
支那の子供が石を投げてゐる。淫蕩を目と頬とに漲らした
四十近い西洋婦人が、ベンチに横ざまに靠れてグランドホテルの
玄関を凝視したゐた。
shinkichithanadi01.jpg
 夜会か何かゞあるのかも知れない
 自動車が幾台も、幾台も来る。
 彼は陰嚢と早漏に悩む青年に過ぎない
 彼は月経を衂血で済ます女を想つた。
 沖の方の汽船のトモの方の船底へ打突つかつた魚の鼻の
頭がかすかに剥げた。
 見るまにドス黒く紫色に、真赤になつた。
 彼は花崗岩の柵に凭つて、憂鬱な彼の顔を明るくし様か
と考へてゐた。
 シユンでもシユンでも鼻血が出る。破れた粘膜も噛み棄
てた、顔中血だらけになつた。
 彼は体中の血を口の上から絞り出して了へと思つた。
 足の爪が白くなる程思ひ切つて噛んだ
・・・・・・・・
shinkichithanadi03.jpg
原文にルビ(ふり仮名)無し
*漲(みなぎ)らし
*靠(もた)れて
*衂血(はなぢ)
*了(しま)へ
*凭(よ?もた?)つて

「ダダイスト新吉の詩」大正12年(1923年)中央美術社刊(辻潤編集)収録の「衂血」より。
posted by t.z at 06:26| Comment(0) | 横浜yokohama | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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