葦垣(あしがき)宮・岡本宮・鵤宮のほぼ中央に位置することから中宮と称され、寺名もその名号が使われた。現在地には永生年間(1504〜1521)に移建され、天文年間(1532〜1551)に門跡寺院となり、中宮寺御所・斑鳩御所と呼称される。
戦後、1953年に法隆寺と同じ聖徳宗に改宗。国宝の木造菩薩半跏像(飛鳥時代)が安置されている。
その弥勒菩薩の微笑む御顔を見つめていると、いつしか心に平穏というものが満ち溢れてくる。
中宮寺本堂(1968年建立と新しく、作詩当時の草野心平は目にしていない)
夕宵に黒く染まり始める中宮寺の西側の土塀。
草野心平「中宮寺弥勒菩薩」より
(月刊誌「いづみ」日本女性文化協会1966年7月号初出)
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中宮寺弥勒菩薩
斑鳩の。
中宮寺の。
土塀のなかに。
濃緑の龍柏(ろんばい)の炎がならび。
そのかげの。
御堂のなかに。
黒く独り。
弥勒菩薩の。
ニッポンの愛(かな)しい微笑(ほほえみ)が。
淡くたゆたい。
月夜の沼の水すましの。
波紋のよう。
斑鳩の。
中宮寺の。
弥勒菩薩の。
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中宮寺本堂北西の堂宇(表御殿)。
月刊誌「いづみ」日本女性文化協会1966年7月号掲載初出
「ふるさと文学館第35巻」1994年ぎょうせい刊より
参考:「寺院神社大事典 大和・紀伊」1997年平凡社刊

