愛宕の用材等により、難波の荒陵に四天王寺が建立されたのは、その4年後の推古元年(593年)で(日本書記)、聖徳太子の斑鳩(いかるが)宮の造営は、さらに推古9年(601年)まで待たねばならない。法観寺の創建は、未だ京都に森と雑木林が一面に広がっていた時代、蘇我馬子が権力を振るっていた飛鳥時代まで遡ることになる。平安京鎮護のために建てられた官寺・東寺(とうじ)の建立は、延暦15年(796年)で、200年以上も時代を下らなくてはならない。
江戸時代の観光案内書「都名所図会」(1999年筑摩書房刊)によれば、
<<法観寺は上宮(じょうぐう)太子(聖徳太子)の草創なり。古へは楼門・伽藍・鎮守等、厳重たり。破壊(はえ)年経(としふ)りていま纔(わず)かに残る。五重塔一基。本尊は大日・釈迦・阿閦(あしゅく)・宝勝、東のかたに太子堂あり。北のかたの小堂には薬師如来・弁財天・歓喜天を安置す。むかし浄蔵貴所(じょうぞうきしょ*891〜964年の存命)この寺に住す。あるとき塔おはいに傾く。浄蔵、塔前に坐して持念す。朝(あした)にこれを見るに、塔直(すなお)にして元のごとし(「元亨釈書」1322年)。>>
広大な寺域を有した法観寺(創建当初の寺域は不確定)も江戸時代まで時代を下ると、現在とほぼ同規模にまで縮小していたようだ。
西側の路地より八坂の塔を見上げる。観光客定番の記念撮影ポジション。
スマホで写真を撮っている後ろ姿の女(京都市郊外の実家住まい)は、当ブログ専用の読モ(?!)。
八坂上町に現存する法観寺五重塔(高さ約49m、重文)は、度重なる焼失の後、永享12年(1440年)に足利将軍家(足利義教よしのり)の援けで再興されたもの。須弥壇(しゅみだん)の下に置かれた創建時の心礎(中心礎石、松香石)を木格子の隙間から覗きみることができる。 写真を撮ってはいるが、飛鳥時代と墨書された木札が目立つばかりで、太い格子に邪魔されて内部は明瞭でない。茶褐色の心柱と灰色の礎石は見てとれるのだが。
五重塔内部。
五重塔内部2階までは拝観可能。
源義経軍に追い詰められ、近江琵琶湖畔打出浜で討たれた木曽義仲の首が六条河原(鴨川)に晒された後、法観寺寺域に葬られたと伝わる話は、慈円の「愚管抄」を頼りにして別項目で独立させたい。
撮影は2012年から2016年までの各季節。
参考:「京都発見 路地遊行」梅原猛1998年新潮社
「寺院神社大事典 京都・山城」1997年平凡社
「古寺巡礼 西国 四天王寺」1981年淡交社
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