2018年01月12日

渋谷宇田川町 ラブホ・オリエント 「荒木陽子全愛情集」より

渋谷宇田川町のパルコパート1(本館)・パート3の周辺はかってラブホテルが点在していた。
パルコパート3のエントランスの対面にあったのが、ラブホ・オリエント。パルコ周辺は1980年代には現在と変わらぬ人気エリアとなり、週末は混雑が終日続いていた。入るときは、すっとインすれば問題ないが、おわって出る時が精神的なプレッシャーがマックスとなる。どの出口(パート3側・スペイン坂階段途中)を選んでも、左右どちらに向っても、衆人環視の状態に変わりはなかった。晒しものになること数分間は覚悟しなければならなかった。
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2007年当時のパルコパート3正面。ラブホ・オリエントの位置は真後ろ。

写真家アラーキー氏の愛妻陽子さんの小説風エッセイ「七月の黄昏は恋のような時間」から。
<<渋谷のパルコ3に入っているアフタヌーン・ティーで、ロゴ入りのTシャツと卵型のピル・ケースを買い、その後アルフレックスやオレンジ・ハウスを見て回り、散々時間をつぶしたように思って時計を見てみると、まだ六時。待ち合わせの時間には一時間もある。
 どうしようかな、と思いつつ、ケイコはパルコ3のビルを出た。向い側には、この前まで緑色のビニール短冊を入口に吊してあったラブ・ホテル(*ホテルオリエント)に変って、映画館が二つ(*シネマライズ最大3スクリーン)入っているという不思議な雰囲気の建物ができている。一階にはローズ・ルームというカフェ・レストランがあり、テーブルの上のバラ模様と濃い緑のテーブル・クロスが、ダークな店の中でオブジェのように浮かんで見える。(略)>>
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ラブホ・オリエントのスペイン坂石段側。本文通り<緑色のビニール短冊>が吊り下がっている。
撮影1982年(ビデオテープからキャプチャー)。
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ラブホ・オリエントが、映画館シネマライズビル(左側)に建てかえられる。2008年撮影。
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映画館シネマライズも閉館し、2017年現在では<WWW>(ライブハウス、読みはスリーW)が入居中。

撮影1982年ビデオテープからと書いたが、当時の機材がコレ。
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現在では小さいスマホで動画はこと足りるが、個人用ビデオカメラ+デッキが発売された当時は
写真のような重装備。機材費総額50万円ほどで、文字通りに重い上に画質は最悪。
パートナーの親友で原宿に住んでいた服飾デザイナーMさんと明治神宮で。1982年1月。

本文中の(*)は原文に無い。
荒木陽子「七月の黄昏は恋のような時間」(1985〜1986)より抜粋。
「荒木陽子全愛情集」2017年港の人(鎌倉市)収録。
荒木経惟リンク
世田谷 写真家荒木経惟(アラーキー)の陽子もチロもいない新家http://zassha.seesaa.net/article/400445825.html
豪徳寺 写真家荒木経惟(アラーキー)と陽子とチロの遺家http://zassha.seesaa.net/article/284210221.html
原宿 荒木経惟「文化写真」 展(ミニギャラリー) http://zassha.seesaa.net/article/454860200.html
京都・四条河原町 喫茶・築地http://zassha.seesaa.net/article/455847835.html
渋谷 青学会館 荒木経惟・陽子夫妻の挙式会場http://zassha.seesaa.net/article/455890811.html
長崎・鍛冶屋町 レストラン銀嶺 「荒木陽子全愛情集」よりhttp://zassha.seesaa.net/article/455985556.html
鎌倉 近代美術館付属カフェ<ラ・ミュゼ> 「荒木陽子全愛情集」よりhttp://zassha.seesaa.net/article/456022608.html
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posted by t.z at 23:53| Comment(0) | 東京北西部tokyo-northwest | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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