2018年06月04日

渋谷・百軒店 文紀堂書店とストリップ道頓堀劇場 安西水丸「東京美女散歩」より

文芸誌「小説現代」に連載されたイラストレーター安西水丸のエッセイ「東京美女散歩」より、「懐かしさと空しさ」(渋谷あたり篇)の章に描写された道玄坂百軒店(ひゃっけんだな)付近の今では見られなくなった風景を探ってみる。
文中の道玄坂沿いの看板建築の商店(7店舗)は、長い間閉鎖され廃墟化していたが、近年解体されて更地となり、空き地は駐車場として運営されている。文紀堂書店の位置は何処であったのか、知るすべもない状態だが、地図と写真で明確にしてみたい。また、ストリップ劇場として登場する道頓堀劇場は、長期間の閉鎖処分(8ヶ月間)を受けながらも、現在までしぶとく営業を続けている。
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道玄坂沿いのかっての看板建築群はすべて解体され跡かたもない。2018年3月撮影。

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かって道玄坂沿いにこの看板建築群が建っていた。左端のオレンジとブルーの縦じまサンシェードの店が<文紀堂書店>。<文紀堂書店>の屋根は変形マンサード(フランス屋根)といってよいのか。
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古書買入の看板が残っていた<文紀堂書店>。2005年11月撮影。
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マンサード屋根とともにスクラッチタイルも当時の流行。
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看板建築群を裏の道玄坂駐車場脇から撮影。

<<信号を反対側に渡り、(*道玄坂を)下ると「三業通り」(料理屋、待合、芸者屋の三種のある通り)、「百軒店」、「恋文横丁」の通りとなる。「百軒店」から反対側を見ると、今はすべてシャッターを下した看板建築が並んでいる。関東大震災(一九二三年)以後流行した商店建築のスタイルだという。看板と建物を一緒にしたもので、パラペット建築(胸壁建築)とも呼んでいた。このなかの一つ、「文紀堂書店」にはよくお世話になった。
「百軒店」に入る坂を上った右手にストリップ劇場の「道頓堀劇場」があるが、ぼくが高校生の頃はまだなかった。その頃のストリップ劇場は、百軒店の奥まったところにあった「テアトル渋谷」だった。(略)>>
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解体寸前の看板建築群端から見た百軒店入口。上り坂の右側に道頓堀劇場がある。2005年11月撮影。 
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2005年11月撮影。
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都公安委員会による(有)日本ワーナー(渋谷道頓堀劇場)に対する約8ヶ月の営業停止処分(平成21年3月〜10月まで)。撮影は営業停止中の2009年3月。
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道頓堀劇場再開初日にファン一同が贈った花輪。2009年11月1日撮影。今も昔もホール入口は花輪で飾られるストリップ劇場。
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安西水丸「東京美女散歩」2015年3月講談社刊より抜萃。
「東京美女散歩」は、文芸誌「小説現代」(2007年2月号〜2014年4月号までの隔月連載)に初出。

安西水丸リンク
渋谷 のんべい横丁 安西水丸「東京美女散歩」よりhttp://zassha.seesaa.net/article/441992175.html
吉祥寺 旅荘和歌水 安西水丸「東京美女散歩」よりhttp://zassha.seesaa.net/article/452747671.html
江古田 日大芸術学部+ミス日芸2017 安西水丸「東京美女散歩」よりhttp://zassha.seesaa.net/article/453972631.html
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posted by t.z at 19:58| Comment(0) | 東京北西部tokyo-northwest | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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