2018年06月15日

築地 海幸橋 池波正太郎「東京の情景」より

池波正太郎の画文集「東京の情景」から、今は見ることのできない築地の懐かしい情景が、さりげなく描写されている<日曜日の魚河岸>、その一部を抜萃。
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本文に登場する築地川東支川に架かっていた海幸橋(かいこうばし)があった場所。現在は、海幸橋の緑色の照明付き親柱のみが当時のまま保存されている。釣人が橋から糸を垂らしていた東支川は埋立てられ見ることはできない。

<<ある日曜日に、築地の料亭で昼間の会合があった。少し早目に家を出て、銀座で地下鉄を降り、がらんとした、人の気配もない、日曜日の魚河岸を抜けて行くのは妙な気分である。平日の雑踏とざわめきが嘘のように消え、まるで、廃墟の中を歩んでいるような気分になる。
東支川に架かる海幸橋で、近辺の人が釣り糸をたれていた。何が釣れるのだろう。
左手に見えるのは波除(なみよけ)神社だ。自動車も自転車も通らぬ夏の白い道が、暑い日ざしを吸ってあえいでいる。スケッチをしていたので、料亭へ着くのが遅れた。(略)>>
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波除神社境内より池波が<白い道>と表現した鳥居前の通り方向を見る。海幸橋は鳥居を出てすぐ左手にあった。
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関東大震災の復興事業の一環として架橋された海幸橋と東支川のかっての姿。昭和2年10月に完成。国内初のランガ―式アーチ橋。古ぼけた写真は、中央区土木部が設置した説明板に付けられているもの。
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海幸橋上から東支川(海側)を幻視する。釣り人はここから糸を垂らしていたのだろう。

池波正太郎「東京の情景」1985年朝日グラフ初出、2004年朝日文庫刊行。
池波正太郎リンク
箱根 富士屋ホテル 池波正太郎「よい匂いのする一夜」よりhttp://zassha.seesaa.net/article/454046918.html


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posted by t.z at 22:26| Comment(0) | 東京東南部tokyo-southeast | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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