2018年06月21日

京都 五山送り火 水上勉「折々の散歩道」より

京都五山送り火。京都の夏の夜に行われる盂蘭盆(うらぼん)の行事で、先祖の精霊が浄土へと帰る道々を照らすために灯される。江戸時代は陰暦七月十六日、現在は八月十六日に行われる。京都を囲む山々に夕闇がせまるころ、五山(金閣寺大文字山の左大文字、東山大黒天山の妙法、西賀茂船山の船形など)でつぎつぎと送り火が焚かれてゆく(かなり時間差がある)。東山如意ケ嶽(にょいがたけ)の大の字を、百万遍に住んだ作家水上勉がエッセイに書き残している。
「画文歳時記 折々の散歩道」水上勉1993年小学館より抜萃。
daimoni01.JPG
東山如意ケ嶽、漆黒の闇に赤々と大の字が浮かび上がる。

<<このところ雨の日ばかりなので、窓から大文字山ばかり眺めている。時に晴れまがあると、山は、くっきりみどりの肌を浮かせる。阿弥陀峯は大文字山といわれるが、例の三角のところが、心もちまがぬけて見える。やはり八月がきて火が燃えぬと、この山はどこか手持ち無沙汰なのだ。三角のかたちいっぱいに、春先だと土の出たところが大の字にみえる。五月すぎると下草が生えるので、窓からはみどり一色となる。時々、ここを軽トラが通っているのを双眼鏡で見たような気がする。>>
daimoni03.jpg
daimoni04.jpg
賀茂川出町橋付近の土手・河原は数時間前から送り火見物の人々で埋め尽くされる。

<<大の字の中央にお厨子(ずし)があって、八月十六日の夜の送り火の際は、ご祈禱がある所だろう。そのあたりの小屋を修繕でもしているのか。人の白い姿もちらほらしているが。だがこんな風景を双眼鏡でじっくり見つめている男は、ひま人のぼくぐらいで、京都市民の大半は、物をいわない山をいちいち仰いだりしないだろう。みな忙しそうに、車も自転車も人間も走っている。(略)>>
daimoni02.jpg
出町柳駅から出町橋付近にかけてのエリアは毎年恒例の大混雑、橋上の絶好のビューポイントは人間の渦が巻く。
撮影2012年8月16日
水上勉リンク
京都 水上勉が贔屓にした京漬物店 出町なかにしhttp://zassha.seesaa.net/article/385952842.html
京都伏見 第十六師団第九連隊輜重隊跡 水上勉「私の履歴書」よりhttp://zassha.seesaa.net/article/448183567.html
京都百万遍 梁山泊と思文閣MS 水上勉「画文歳時記 折々の散歩道」よりhttp://zassha.seesaa.net/article/455218960.html 
京都宇治 萬福寺 水上勉「画文歳時記 折々の散歩道」より http://zassha.seesaa.net/article/455418803.html


【関連する記事】
posted by t.z at 01:45| Comment(0) | 京都kyoto | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。