アジア各国からの観光客でごった返す大阪一の繁華街道頓堀。
夕方から夜にかけて、この人気スポットを行き来する人波からは日本語が聞こえてこない。広東語、北京語、朝鮮語、インドネシア語(?)、バングラ語(?)、怪しくなってきたのでやめるが、雑踏からは英語もほとんど耳に届かない。この異文化人種の洪水は、近年3〜4年前からの傾向で、ピークは過ぎたのか、まだなのか判断がつかない。走り回り、嬌声をあげ、集団で固まり、金をまき散らす。この状態では浪花がはぐくんできた文化に想いを馳せる余裕が生まれない。十軒路地から相合橋南詰にでて、紙幸に向って小走りに歩む宇野浩二少年の姿を以前は夢想することができた。林芙美子が写真におさまった場所に立ち止まって、ニヤつく余裕もあった。以下の写真は、2014年以前に撮ったものです。

道頓堀川に架る戎橋(心斎橋筋)。画面奥が下流で西にあたる。

御堂筋橋上より戎橋を望む。

各国の多くの観光客が両手を上げて記念撮影をする。私は長年の左肩の痛みのため、そんなまねは到底できない。グリコ看板(5代目)。2013年撮影。

道頓堀川沿いの南側の通りは、江戸時代より芝居小屋(道頓堀五座)が軒を連ねていた。戎橋に近い竹本座(現在フォーエバー21の入居する建物)では近松門左衛門の名作「曽根崎心中」が初演されている。


太左衛門橋から戎橋方向。

芝居小屋角座跡に2013年にオープンした道頓堀角座(松竹芸能の演芸場)。写真は角座広場での無料ライブ(芸人バンド)。

たこ焼き屋「大たこ」。画面右手に広めのテーブル席が用意されており、食べたくなったらここに行く。

戎橋南側。リニューアルするたびに、ツタヤ(書店)が狭くなり、スタバのスペースが拡大する。


道頓堀川の万灯祭。

深里橋(四つ橋筋)からの道頓堀川。右岸のムーディな灯りは「ムーラン」。

道頓堀川北岸のデッキカフェレストラン「ムーラン」(西区南堀江)。明るいうちはどうってことはないが、
夕闇につつまれ始める頃、黒い水面は赤、オレンジ、黄のゆらめく色彩に飾られ、幻想の調べを奏で始める。夏の夕暮れ、涼しい川風が彼女の髪をゆらし、テーブルランタンの灯りが瞳にきらめき、(たいしてかわいくもない女だが)もうウットリ。酔いざましにデッキを歩く彼女は、ちどり足。月の光に照らされて、ふらふら、ふらふら、もう夢のなか。
追加:新年恒例の道頓堀十日戎(とおかえびす)出発式典。
道頓堀の船乗り込みは、映画「残菊物語」(溝口健二監督)に描写されている。