2017年10月13日

成城 こばやし動物病院と成城外科整形外科 横尾忠則「千夜一夜日記」より

成城駅南口近くで、兄(動物病院)・弟(整形外科)の経営するクリニックが隣接して患者を待ち受けている。動物病院の世話になったのは横尾忠則の愛猫タマ、整形外科のほうは横尾本人。
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手前に成城外科整形外科、奥のビル1階に成城こばやし動物病院。

以下、「横尾忠則千夜一夜日記」2016年日本経済新聞出版社刊より抜粋。
原文の日付は漢数字使用。
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2013年9月24日
タマが具合悪く成城こばやし動物病院で診てもらう。心配していたガンはなく、腎臓機能が低下とのこと。
二年前にはぼくと同い年の七十五才だったのが、今年は九十才とか? 来年には百才越えるでえ。

2013年9月25日
タマ今日も病院へ。老齢のため人恋しいのか、ぼくの後ばかりついて廻る。食卓、トイレ、風呂、ベッドと。ぼくも老齢のためネコ恋しい。

2013年10月18日
入院中、足の骨折に関して特に治療がなかったのが少々気になり、近くに二ケ所ある整形外科医を訪ねる。最初に覗いた所は内装が殺風景で老人患者ばかりで、どことなく淋しい。次に行った成城外科整形外科は室内が明るく、熱帯魚の水槽があり、看護師さんも多い。出入りの患者も女優さんのような美人もいる。
「よし、ここに決めた」。わが家のタマがお世話になっている成城こばやし動物病院の先生の弟さんがここの外科医だ。足の親指の骨折は回復に向っているそうだ。足のレントゲン(まるで鳥の足みたい)には回復の徴侯がみえるのでここでも特に治療なし。二〜三ケ月の辛抱だって。とにかく精神的ストレスの解消は大きい。
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成城こばやし動物病院、ここで治療を受けた老猫タマは一時は元気になったが・・・。

2013年12月12日
タマ五日間食欲なし。衰弱の体。妻が成城こばやし動物病院へ連れていく。
杖を買うつもりにしていたが、杖に依存しそうなので、杖は本物の老人になるまで延期。そう心に決めたら不思議に歩けるんです。

2013年12月13日
点滴を打ったタマがウソのように回復した。わが足の骨折も今日の最終チェックで痛みを残したままほぼ完治。成城外科整形外科の帰りに、ダンテ「神曲・天国篇」(河出文庫)を買う。
特に「天国篇」は信仰者の眼で読んでみよう。

2014年1月31日
タマ激ヤセ心配。妻、タマを成城こばやし動物病院へ。百才以上の猫まれなり、と言われてもひとつ何んとか、これ親心なり。
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2014年5月25日 日曜日
昼、山田さん、冷しきつねそば、横尾、鳥なんばんうどん。二次会は風月堂で両者白玉ぜんざい。
タマの好物のちくわを0]ストア(*小田急経営のスーパーストア)で、山田さん(*映画監督山田洋次、横尾と大のなかよし)もつき合って下さる。

2014年5月31日 土曜日
深夜〇時二十分頃、二階の妻の部屋で空咳五、六回のあと、妻に看取られて息を引き取る(*タマ死去)。まさか、今夜逝くとは思わなかったぼくは不覚だった。妻の手でタオルに包まれたタマは神棚の前に横臥姿で。早朝六時過ぎアトリエにキャンバスを取りに行って、タマの亡骸二点描く。声なき声で慟哭。

2014年6月2日
長男、長女、スタッフ、隣りの菊地さんの立ち会いで、裏庭の棕櫚の樹の下がお気に入りだったタマをその場所に埋葬する。
午後、玉川病院でMRI、前立腺検査など、いずれも問題なし。気持がタマから離れない。

2014年6月3日
タマの墓に白い砂利を敷きつめ花の植木鉢を並べて、小さい「タマ霊園」をこしらえる。

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その後、横尾忠則は、とめどなく愛猫タマの絵をキャンバスに描き続けている。
いつかキャンバスからタマが歩き出て、足元にまとわりつくのを待ち焦がれるように。


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posted by y.s at 23:13| Comment(0) | 東京北西部tokyo-northwest | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする